私は法律系を専門としていましたので、受験者が減り続けていると話題の司法試験やロースクールに関するデータも気になり、2007年以降のデータを抽出して、まとめてみました。
ただ、ロースクールはかなり多いので、今回は代表的なロースクールの比較をデータでさせていただきたいと思います。(2006年は初回であり、データが綺麗ではないので、のぞいています。)
主要ローの比較(国立対私立)
全代表的なロースクールである、東大、一橋、慶應、中央、京大あたりの比較をしたいと思います。
全体の合格率
既習、未習、受験回数を問わずに出願者に対する合格率の推移をグラフにしてみました。
年度によりおおよその差はありますが、全体としてみた時には、
一橋、京都、東京、慶應、早稲田、中央
といった序列になることは否定できなさそうです。(下にも書きますが、中央の凋落には少しショックを覚えます。)
東京が現在まであまりふるっていないのが意外です。
既習者一発合格
上のグラフは、2007年以降の既習コース修了者の一発合格率の推移になります。
データの代表値は以下のとおり
| 既習者一発合格率15年平均 | 最大値 | 最小値 |
一橋 | 0.7778517785 | 0.8088(2018年) | 0.5692(2007年) |
東京 | 0.8019956553 | 0.8763(2007年) | 0.6319(2007年) |
京都 | 0.7878168996 | 0.8515(2021年) | 0.5267(2008年) |
慶應 | 0.7209476291 | 0.7800(2013年) | 0.5299(2018年) |
中央 | 0.5513027007 | 0.7448(2013年) | 0.3049(2017年) |
早稲田 | 0.635347631 | 0.8000(2007,2010年) | 0.3732(2018年) |
一橋、東京、京都の国立3大学に関しては、正直そんなに変わらないクオリティで、試験自体の合格率上昇にしたがって合格率も上がっていくような傾向があることがわかります。
この3校に関しては、試験の結果から優劣をつけることは難しそうですが、既習層に関してはやはり東京、といったところなのでしょうか。平均値、最大値、最小値、いずれも他のロースクールを凌いでおりました。
他方、私学は私が想像していない結果になりました。
私が学生の頃は、中央大学法学部というと相当高い合格率を叩き出していた印象だったのですが、近年は凋落していると言わざるを得ない結果です。
早稲田に関しても、印象よりも合格率悪いなという感想です。
私学3校について言えることは、全体の合格率が上がっているにも関わらず、合格率がつれて上がるという減少も見られず、といった感じです。
これは、法学部志望者数の減少や司法試験自体の不人気化によって、ロースクール受験者の人材減少が起こり、ロースクール受験の段階である程度出来上がっている人材が私立にまで回りにくくなっているという可能性を指摘せざるを得ないのかもしれません。(予備試験で抜けた人たちについては考慮していない点は注意)
未習者一発合格率
入学方針にもよりますが、ロースクールの実力を一番測れる指数ではないかと個人的に注目しているデータがこの未習者一発合格率です。
結果は以下のとおり。
あまりに見にくいので、各ロースクールの合格率平均値(毎年の値を単純に集計年数で割って算出)
未習者一発合格率15年平均 | 最大値 | 最小値 | |
一橋 | 0.4576852785 | 0.7391(2007年) | 0.2632(2013年) |
東京 | 0.3425889914 | 0.4810(2007年) | 0.1379(2019年) |
京都 | 0.3245408372 | 0.4667(2019年) | 0.1739(2014年) |
慶應 | 0.3796741 | 0.6029(2007年) | 0.2174(2015年) |
中央 | 0.2410641529 | 0.3704(2013年) | 0.1111(2022年) |
早稲田 | 0.3505360597 | 0.5049(2007年) | 0.1667(2018年) |
未習者合格率という観点から見ると、明らかに一橋が頭ひとつ抜けている結果となりました。上にも書きましたが、ロースクールの教育力という意味において最も重要指標と思われますから、一橋の成果は素晴らしいというほかないと思います。
しかし、いずれのロースクールでも3年間という時間をかけて学習を進めることから、やはり世代ごとの雰囲気というか、集まった集団の相互作用のようなものを感じざるを得ないアップダウンです。
しかも試験自体は合格しやすくなっているにも関わらず、未習者合格率に関しては横ばいか下落するトレンドにあることを考えると、司法試験の不人気は、未習者受験層に関しても大きく影響を感じざるを得ないというところなのかもしれません。
最後に
以上、主要ロースクールのデータをまとめてみましたがいかがだったでしょうか。
最終的には個人の戦いですが、進学先によって、これほど差がついているというのは私自身も驚きをもって受け止めているところです。
既習であれば2年、未習であれば3年学習する場ですから、所属する環境の雰囲気、レベルというのはとても重要なようにも思います。何かの参考になれば幸いです。
また、すべての学校について同様のデータは保持していますので、こういうデータが見たいというリクエストがありましたら、リクエストいただけますと幸いです。