経済

CPI(消費者物価指数について)

2023年1月12日に米CPIの発表を受け、為替が円高ドル安方向に向かっているようです。

至る所で解説されているところではありますが、今回の米CPIが前年比+6.6%と予想されていた値よりもかなり低かったことから、インフレへの懸念が和らぎ、FOMCによる利上げに目処がついたと判断されたためのようです。

米CPIは、米国労働統計局(U.S Bureau of Labor Statics)のサイトからも確認できるので、気になる方は確認してみてください。

https://www.bls.gov/cpi/から引用

このグラフを見ると、全体としては下がっているのでしょうが、食料品が前年同月比で10%アップというのはなかなかのインパクトです。

CPIとは

CPIとは、Consumer Price Indexの略で、日本語訳ではそのまま「消費者物価指数」と訳されることが多いです。

指標とされていますが、重要なのは、前年同月比でどれくらい数字が動いたか、ということです。基本的に、良いとされるのは前年同月比で2%くらい物価が上昇すること(緩やかなインフレ)とされていて、CPIがマイナスであることをデフレ、プラスであることをインフレなどと表現します。

米国では毎月13日頃に前月のCPIが公表されます。そして、この数値はアメリカにおけるインフレ状況を知る最も重要な指標と位置付けられています。

そのため、現在のようにインフレ懸念が強く、政策金利の決定が株価に大きく影響を及ぼす場面では、多くの人が注目する値となるようです。

コアCPI、コアコアCPI

CPIは、全体の物価を示す指数として公表されますが、CPIから、天候に左右されて価格変動が大きい(そのため、ノイズとなりやすい)生鮮食品を除いた値のことをコアCPIとして区別しています。

また、変動幅の大きい原油価格もノイズとなりやすいことから、CPIから前述の生鮮食品とエネルギーを除いた値をコアコアCPIとして公表しています。

日本における消費者物価指数の推移

日本では、2000年頃から2013年頃まで、この消費者物価指数がマイナスに転落するデフレが常態化してしまったため、経済的に大きな打撃を被り、安倍首相と日銀の黒田総裁総裁がタッグを組んで「アベノミクス」と呼ばれる金融緩和が行われた、という流れになります。

日本におけるCPIの推移(1976年以降。データはe-statsを参照)は以下のとおりとなります。

1980年頃はオイルショックの影響で狂乱物価と呼ばれる高インフレ時代でした。

その後、1990年前半にかけてバブルに伴う物価上昇こそありましたが、バブルが弾けた後は、ひたすらデフレが続いていたことがこのグラフから読み取れます。

少し悲しくなるグラフですね。

なお、2022年はまだデータが公表されていないので上記のグラフには反映されていませんが、現在わかっている2022年11月の消費者物価指数は、前年比3.7%だったということで、オイルショック以来の物価上昇率を記録しているようです。

今後の短期金利について

上述しましたが、2022年11月の消費者物価指数が前年比3.7%(コアコアCPIでは2.8%)上昇したようで、世界からは一周遅れで物価上昇局面に突入したように思われます。

2022年1月から11月までの前年比物価上昇率は以下のとおりで、綺麗な右肩上がりとなっていることがわかります。

こういった状況を踏まえれば、日銀が政策金利を上げざるを得なくなるのは、ある程度織り込んでおく必要があるのではないかとも思えます。